相続のお悩みを相談され,ご依頼中に担当者に直接伝えにくいことができた場合に,依頼者の方が他のスタッフにご相談できるように「お客様相談室」を設置しました。初めてのお客様も安心してご依頼いただける環境です。
相続を進める中で,不安や疑問が生じることもあるかと思います。その際は,こちらのQ&Aページを参考にしてみてください。その方にあった対応の仕方はそれぞれ異なりますので,詳しい対応方法などは専門家にご相談ください。
相続についての依頼内容は多岐に渡りますが,豊富な知識を持った専門家が丁寧に対応いたしますので,安心してお任せください。依頼者の方のお気持ちが軽くなるように取り組んでまいりますので,ぜひご相談ください。
相続の問題は後回しにしてしまうと,後に大きなトラブルに発展してしまうかもしれません。相続に関してお困りのことやお悩みがございましたら,なるべく早く専門家にご相談ください。柏にお住まいの方は,柏駅徒歩2分の場所ある事務所をご利用ください。
各専門家が協力できることの強み
1 相続に関わる専門家
- ⑴ ご生前の相続対策の場面
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ご生前の相続対策の方法には,①争族対策,②節税対策,③納税対策があります。
ア ①争族対策とは,ご逝去後の遺産をめぐるご家族間の相続争いを予防するための対策で,遺言書の作成が有効な方法です。
司法書士,税理士,行政書士などの専門家のなかには,遺言書の作成相談を行っている専門家もいるようですが,有償で法律相談にのることができるのは弁護士のみと弁護士法で定められていますので,弁護士に相談しましょう。
イ ②節税対策とは,相続開始後の相続税について,適正な手段を用いて節約する対策のことをいいます。
税理士の専門分野になりますが,通常の税理士は法人税や所得税の申告業務が多く,相続税申告をほとんど取扱っていませんので,あまり詳しくないことも多いようです。
相談する際には,相続税に詳しい税理士に相談しましょう。
ウ ③納税対策とは,相続開始後の相続人が相続税を納められるように資金を準備しておいてあげることをいいます。
遺言や生前贈与,保険等を組み合わせて行うことが多いようですので,弁護士,税理士等の複数の専門家と相談しましょう。
- ⑵ ご逝去後の相続手続きの場面
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ご逝去後の相続手続きには,大きく分けて,①遺産分割と②相続税申告があります。
ア ①遺産分割とは,相続人が複数いて遺言書によって相続財産の分け方を定められていない場合に,誰がどの財産をどれだけ取得するのか決めることをいいます。
遺産分割には,協議・調停・審判という方法があり,調停と審判は協議でまとまらない場合に行う裁判手続きですので,弁護士に相談することをお勧めします。
イ ②相続税申告は,相続開始を知った時から10ヵ月以内に行う必要があります。
ご葬儀を終え,四十九日を行い,遺産の話し合いをしていると,10ヵ月はすぐにきてしまいますので,早めに税理士に相談しましょう。
2 相続に関わる各種専門家が所属している弁護士法人心の強み
弁護士法人心には,相続案件を主に取扱っている弁護士が相続チームを作り,相続案件を集中的に取扱うことで難易度の高い案件にも対応できるよう整えております。
また,関連法人である税理士法人心の税理士とともに相続案件を取扱うことで,通常の弁護士事務所と異なり,相続税に配慮した遺言書案のご提案をさせていただくことができます。
ご逝去後の遺産分割でも,相続税に配慮しないまま取得すべき遺産をアドバイスする弁護士もいるようですが,取得する遺産の種類や額,大きさ等によって,小規模宅地等の特例のような最大で不動産評価額を8割減する特例が受けられることもありますので,相続税への配慮は必須です。
弁護士法人心では,税理士とともに相続案件を取扱うことで,納税額のことも考慮に入れたご提案をさせていただきますので安心です。
柏にお住いの方もご相談ください。
相続の限定承認
1 限定承認とは
限定承認とは,被相続人のプラスの財産とマイナスの財産のうち,プラスの財産の額を限度としてマイナスの財産を弁済する責任を負うという制度です。
限定承認は,どうしても不動産などの特定の財産だけは取得したい場合には,先買権を行使することにより,限定承認をした人が特定の財産を鑑定価格で買い取ることができるなど,場面によっては,非常に有効な制度になり得ます。
限定承認をするためには,被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に限定承認する旨の申述を行い,かつ相続財産の目録を作成して,家庭裁判所に提出する必要があります。
この申立ては,被相続人が死亡し,自分が相続人になったことを知ってから3か月以内に行わなければならないと定められています。
2 限定承認の注意点
⑴ 相続財産の清算手続き
限定承認は,家庭裁判所に申述をして受理された後,相続人が自ら相続財産の清算手続を行う必要があります。
清算手続とは,被相続人のプラスの財産を売却して換金し,マイナスの財産の支払にあてる手続きのことを言います。
相続人が1人の場合,その相続人は,家庭裁判所で申述が受理されてから5日以内に,限定承認をしたこと及び被相続人の債権者はその債権の請求をするよう申し出なければならないことを公告(官報掲載)する必要があります。
相続人が複数人いる場合は,家庭裁判所で申述が受理される際,相続財産管理人が選ばれることとなりますので,申述受理から10日以内に,その相続財産管理人が上記の公告手続きを行う必要があります。
その後は,法律にしたがい財産を売却し,債権者には相続財産から債権額の割合に応じて弁済することとなります。
⑵ みなし譲渡所得
限定承認をすると,相続開始の日(被相続人死亡時)に,すべての資産が被相続人から相続人に時価で譲渡されたとみなされ,被相続人に譲渡所得が発生することとなります。
このため,譲渡の対象となる資産(不動産,有価証券,ゴルフ会員権,通勤用・レジャー用の自動車など)が存在する場合は,相続を知った日の翌日から4か月以内に,相続人が被相続人に代わって確定申告(準確定申告と言います)を行う必要があります。
このように,限定承認を行うと,被相続人に譲渡所得が発生しますので,被相続人に多額の所得税が課される可能性があります。
もっとも,上で述べたとおり,限定承認をすると,相続人は,プラスの財産の範囲内でしか,マイナスの財産を弁済する責任を負いませんので、被相続人の所得税についても,プラスの財産の範囲内で支払えばよいことになります。
⑶ 全員で共同して申述
限定承認は,相続人全員が同意したうえで,共同して家庭裁判所に申述する必要があります。
そのため,もし相続人のうち一人でも単純相続したいと言えば,限定承認することはできなくなってしまいます。
なお,相続人の中で相続放棄をした人がいる場合は,相続放棄をすれば初めから相続人でなかった扱いとなりますので,残りの相続人で限定承認の申述を行えばよいということになります。
3 限定承認は税金の問題に対応できる弁護士に相談
このように,限定承認は通常の相続の場合と税法上の扱いが大きく異なります。
安易に限定承認をしてしまうと,多額の税金が課せられる可能性がありますので,税制について理解し,かかる税金の額について大まかに計算できなければ,限定承認を行うのが適切か判断することができないことになります。
さらに,限定承認後債権者へ弁済する際には,その債権額に応じて適切に相続財産を配分しなければならず,誤った弁済をして債権者に損害を与えた場合は,債権者から損害賠償請求される可能性もあります。
したがって,税金の知識だけではなく,法律の知識もなければ,限定承認の制度を利用することは困難と言えます。
税法にも精通している弁護士や,税理士と緊密に連携することができる弁護士であれば,税金と法律の双方に配慮して,最も適切な方法につき提案することができますので,限定承認を検討している方は,税金と法律の双方に配慮することができる弁護士に相談されることをお勧めします。
相続放棄
1 相続放棄とは
相続放棄とは,相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないという制度です。
相続放棄をするためには,被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で,相続放棄の申述を行う必要があります。
他の相続人に対して相続放棄すると意思表示しただけでは,放棄の効力は生じませんので,注意が必要です。
2 相続放棄の注意点
⑴ 生前に相続放棄できない
例えば,自分の財産を特定の相続人にだけ相続させたいという理由から,被相続人が生前にその他の相続人に相続放棄する旨の書面を書いてもらったとします。
ところが,相続放棄は相続開始後に相続人が家庭裁判所に対して申述をしない限り認められませんので,このような書面を作ったとしても,相続放棄をしたことにはならず,効果はありません。
⑵ 期間制限がある
相続放棄の申述ができる期間を熟慮期間といいます。
熟慮期間は,基本的には,被相続人が死亡し自分が相続人となったことを知ってから3か月以内となっています。
もっとも,3か月の期間では,相続財産の状況を調査し,相続放棄するかしないかを判断する資料を得ることができない場合には,3か月の期間が経過する前に,家庭裁判所に期間の伸長の申立てをして,熟慮期間を伸ばすことができます。
伸長の申立てをせず,期間が経過してしまうと,単純承認したとみなされてしまい,原則として相続放棄は認められなくなります。
もっとも,判例によれば,被相続人の死亡及び自分が相続人となったことは知っていたが,被相続人と長年没交渉であったことなどによって財産状況を知ることができず,債務が全く存在しないと信じるにつき相当な理由があると認められるときには,相続財産の全部または一部の存在を認識した時又は通常これを認識できるであろう時から,3か月の熟慮期間が起算されることとなっています。
⑶ 相続財産を処分してしまうと相続放棄できない
相続財産の一部又は全部を処分または破棄してしまうと,単純承認したとみなされ,相続放棄ができなくなることがあります。
これを法定単純承認といい,例えば被相続人の預金を引き出して自己のために消費してしまったり,被相続人の債権者から借金の返済を迫られて被相続人の預貯金から弁済してしまったりすると,相続財産を処分したとして,単純承認したものとみなされてしまう可能性があります。
もっとも,問題になるのは,あくまで相続財産の処分等です。
受取人が自分になっている死亡保険金を受け取って消費してしまったとしても,死亡保険金は相続財産ではありませんので,これによって単純承認したとはみなされません。
3 熟慮期間を過ぎた後の相続放棄は弁護士に相談
前に述べたとおり,熟慮期間を過ぎた後は原則として相続放棄することができず,例外が認められるためには,債務が全く存在しないと信じるにつき相当な理由があったことを上申書に記載して家庭裁判所に提出し,これを認めてもらわなければなりません。
そのためには,どのような事情があれば例外的に相続放棄が認められるのか,判例の内容や趣旨を熟知していることが必要となってきます。
また,熟慮期間経過後に家庭裁判所が相続放棄を受理してくれたからといって,今後この判断が覆されることが決してないわけではありません。
熟慮期間経過後の相続放棄の場合,後に債権者が相続人に対し債務の返済を求めて民事裁判を起こし,相続放棄が無効であると主張して争うことがあり得ます。
このような裁判が起こされた場合は,そこで再び例外事由にあたることを主張して認められなければ,相続放棄は無効であると判断され,被相続人の債務を支払わなければならなくなる可能性もあるのです。
そのため,熟慮期間経過後の相続放棄は,判例を熟知した弁護士に相談して行うことをお勧めします。
相続の単純承認
1 単純承認とは
相続人が被相続人から相続する遺産には,プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。
相続の単純承認とは,被相続人が有していた一切のプラスの財産とマイナスの財産を承継するというものです。
相続人が,相続開始後に,被相続人の遺産を引き継ぐとの意思表示を行うことにより,単純承認の効果が生じることとなります。
また,民法は,一定の事情(法定単純承認事由)があることにより,単純承認したものとみなされると定めています。
このような場合には,遺産がプラスの財産よりマイナスの財産が多いなど,そのまま相続すると損をするので,相続することを望まないと思っていたとしても,当然に単純承認をしたものとみなされてしまいますので,注意が必要です。
2 法定単純承認事由とは
法定単純承認事由として,①相続人が相続財産の全部又は一部を処分したこと,②相続人が法律で定める期間中に放棄又は限定承認をしなかったこと,③相続人が限定承認又は相続放棄後に,相続財産の全部若しくは一部を隠匿したり、ひそかに消費したり、またはわざと相続財産の目録中に記載しなかったこと,が定められています。
⑴ 相続財産の処分行為
例えば財産の売却や,損壊,遺棄などが挙げられます。
もっとも,例外として,その行為が保存行為にあたるならば,法定単純承認を生じさせる処分行為にあたらないとされています。
例えば,被相続人の建物が朽ちて倒壊しかかっているときに,周囲への危険が及ぶのを防ぐために取り壊した場合,この行為は保存行為にあたる可能性があります。
また,ほぼ価値のない遺品の形見分けや,遺産全体額から見てごく少額の遺品の処分は,処分行為であっても法定単純承認の効果が生じることはないとされています。
また,過去の判例には,仮に相続財産を処分してしまっても,それが被相続人の死亡を知っていたか,又は被相続人の死亡を確実視していながら行ったものでないならば,法定単純承認の効果は発生しないとされた例が存在します。
⑵ 期間中に限定承認又は放棄をしなかったこと
民法では,被相続人が死亡した事実及びこれによって自分が相続人となった事実を知ってから3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかった場合は,単純承認したとみなされることになります。
もっとも,例外的に,特別な事情が存在する場合には,この期間の起算点を遅らせることができますし,負債の有無を調べるため期間が必要な場合には,期間の伸長を申し立てることができる場合もあります。
現実には,マイナスの財産を弁済することができる十分な金融資産がある場合など,遺産をそのまま相続しても問題がないときは,特に何の手続も行うことなく,単純承認したものと扱われていることが多いです。
⑶ 限定承認又は相続放棄後の相続財産の隠匿等
これは,相続放棄や限定承認によって債務を負う責任を免れたにもかかわらず,利益を得るため,相続財産の隠匿等を行うことは許されないというものです。
3 法定単純承認にあたるかは,弁護士に相談
法定単純承認事由を知らずに,上記①~③に該当するおそれのある行為をしてしまった場合は,後からご自身で限定承認や相続放棄の手続きをしようと思っても,裁判所で認められない可能性が高くなります。
これが認められるためには,上申書を裁判所に提出して,例外的に相続放棄が認められる場合に当たることを主張する必要があります。
これは,法律や判例を熟知していないと非常に困難ですので,すぐに弁護士へ相談されることをお勧めします。
そもそも自己の行為が法定単純承認に該当するかしないかの判断についても,個々の事情により変わってきますので,インターネットなどに記載された事例だけで判断するのは大変危険であり,弁護士に相談されることをお勧めいたします。
事前にできる相続準備はありますか
1 遺産分割対策
⑴ 財産目録作成
自分であれば,自分にどのような資産があるか,どのような借金があるかについて把握していることがほとんどですが,自分の子は,親である自分の財産の内容を把握していないことが多いと思います。
このため,相続が起きてから,被相続人にどのような資産があり,どのような借金があるかが分からず,調査で苦労することとなることもあります。
こうした事態を避けるためには,生前に自分の財産を財産目録でまとめておくと良いでしょう。
そうすれば,相続の際に相続人の負担を減らすことができますし,「被相続人の財産はもっとあるはずだ。」といった相続人間のもめ事を事前に防ぐこともできます。
⑵ 遺言作成
自分の遺産を,どのように分けてほしいかをはっきりさせておくことで,相続人間の争いを避けることができる可能性があります。
遺言には,大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言,秘密証書遺言がありますが,ほとんどの場合は自筆証書遺言か公正証書遺言で作成されます。
自筆証書遺言とは,遺言者が自筆で書いた遺言のことで,公正証書遺言とは,遺言者が公証役場へ行き,公証人に作成してもらう遺言のことです。
公証役場は,例えば柏市の場合,柏駅東口から少し歩いたところにある,柏商工会議所の5階にあります。
自筆証書遺言は,手軽に作成できるというメリットがありますが,形式面に誤りがあれば無効となってしまいますし,自分で保管しておかなければなりませんので,紛失や盗難の恐れもあります。
また,自筆証書遺言は,すぐには執行できず,被相続人の死亡後に家庭裁判所で検認の手続きを行う必要があります。
一方で公正証書遺言は,作成時に手数料がかかってしまいますが,家庭裁判所で検認の手続きを経る必要がないこと,公証人が作成してくれるので形式面のミスによって無効となってしまう恐れが少ないこと,原本を公証役場で保管してもらえるので紛失や盗難のリスクがないことなどのメリットがあります。
2 相続税納税資金対策
⑴ 生命保険
遺産総額が基礎控除を超えている場合,相続人に相続税が課せられる可能性があり,せっかく相続した財産を手放さざるを得なくなることもあります。
そこで,相続発生時の相続税額をあらかじめ計算し,それに見合う保険金を受け取ることができる保険に加入することにより,相続税の納税資金を準備するという方法があります。
生命保険金の場合,500万円に法定相続人の数を乗じた金額までは相続税がかからないという税法上のメリットもありますので,相続税対策としても有効です。
⑵ 生前贈与
上記以外にも,生前に納税資金を贈与税の非課税枠の範囲内(年間110万円)で贈与してしまうという方法もあります。
相続人に対してだけでなく,相続人の配偶者や子に対しても非課税枠の範囲内で贈与を行えば,さらに多くの財産を次の世代に移転することができます。
もっとも,たとえば,10年にわたり毎年110万円を贈与していた場合,後日,税務署から,1100万円を10回に分けて贈与したものと扱われ,多額の贈与税が課税される可能性もあります。
3 相続税対策
⑴ 相続財産を減らす
前述した,生命保険に加入したり,生前贈与を行ったりすることは,相続税対策にもなります。
⑵ 遺産の評価額を下げる
更地にアパートを建てることで貸家建付地にしたり,小規模宅地等の特例を適用できるように工夫したりすることで,不動産の評価額を下げられることがあります。
もっとも,こうした対策については,様々な制度について熟知したうえで,緻密な計画のもとに行う必要がありますので,実際に対策をとる前に,相続税に詳しい税理士に相談することをお勧めします。