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農地を相続する場合の注意点

  • 文責:弁護士 伊藤貴陽
  • 最終更新日:2024年4月17日

1 農地相続に必要な手続き

土地は誰が所有者なのかを明らかにするために、法務局で名簿が管理されています。

いわゆる登記簿と呼ばれるもので、全部事項証明書と言われることもあります。

そのため、例えば柏市の土地を相続し、土地の所有権を得た場合は、その旨を法務局に申請する必要があります。

この手続きを相続登記といいます。

他方、その柏市の土地が農地であった場合、相続登記だけではなく、農業委員会に対しても、農地を相続した旨の届出をする必要があります。

なぜなら、農地は食料を供給する大切な土地であると考えられているため、各市町村の農業委員会も管理しているからです。

参考リンク:柏市・農地に関する手続き(相続)

2 農地を遺贈された場合と農地相続の場合の手続きの違い

⑴ 農地を遺贈された場合の手続き

農地を遺贈(遺言によって取得)された場合、農地の所有権を得て名義変更するためには、原則として農業委員会の許可が必要になります。

農業委員会の許可が必要な理由は、農地の遺贈を受けた人が農業を継続して営むことができるかどうかをチェックするためです。

つまり、継続的に農業を営むことができないような人に対して農地を遺贈した場合、その農地からは何も食料を生み出すことができず、国として大きな損失になるため、そのような事態を防ぐ必要があります。

そこで、農地の遺贈を受ける人が農業を継続できるかどうかを、農業委員会が事前にチェックをするということになっています。

⑵ 農地相続の場合

相続は人の死亡によって効力が発生するため、人が亡くなれば自動的に農地の所有権が相続人に移転します。

そのため、農地を相続で取得した場合、当該相続人が農業を継続して営むことができるかどうかとは無関係に所有権が移転するため、農業委員会の許可は不要です。

また、農地を相続した場合と同視できる場合も、農業委員会の許可は不要です。

たとえば、相続人に対して農地を遺贈した場合(相続させる旨の遺言)、結局遺産分割協議によって農地の所有権を得た場合と同視できるので、農業委員会の許可は不要です。

また、包括遺贈を受けた場合、包括受遺者は相続人と同様の権限を持つため、農地を相続した場合と同視され、農業委員会の許可は不要です。

3 農地相続を届出する場合の期限

農業委員会で許可を得ることとは別に、農地を相続した場合、相続した日から10か月以内に農業委員会への届け出を行う必要があります。

これを過ぎると10万円以下の過料が課される場合があります。

ご家族が亡くなった場合、一周忌が終わってから色々な手続きを行おうと考えている方もいらっしゃいますが、相続に関する手続きは相続開始日から1年以内に行わなければならないものが多いので、注意が必要です。

4 誰が農地相続の届出を行わなければならないか

農地を相続したことを農業委員会に届け出る場合、農地の所有権を取得した人が届け出なければなりません。

つまり、遺言書によって農地の所有権を取得する人が決まっている場合や、遺産分割協議によって農地の所有権を取得する人が決まっている場合は、その人が農地相続の届出を行います。

他方、遺産分割協議が難航し、所有者が決まっていない場合は、相続人全員で届出をする必要があります。

5 相続した農地を売却する際の手続き

本来であれば、土地を売るかどうかは、土地の所有者が自由に決めることができます。

しかし、農地は食料を供給するための土地であるため、自由に売買することができるようになってしまうと、農地がどんどん減少したり、荒れ放題になってしまうおそれがあります。

そのため、農地を遺贈する場合と同様の考えのもと、農地を売却するためには、農業委員会の許可を得るなど、特別な手続きが必要になります。

参考リンク:柏市・農地に関する手続き(売買・贈与・賃借等)

⑴ 農地を農地のまま売却する場合

農地を農地のまま売却する場合、農業委員会の許可が必要です。

許可の基準はいくつかあり、まず農家に対してしか売却できません。

さらに、その農家がちゃんと農業を続けてくれるかどうかという点も大切です。

そのため、必要な機材はそろっているか、農地を買った人が今後も農業を継続できるか等を農業委員会が総合的に判断した後でなければ売却ができないとされます。

⑵ 農地を転用して売却する場合

農地を宅地等、他の用途の土地に変え、その後売却する場合です。

農地を宅地に変えることができれば、その土地に家を建てることができるようになるため、買い手がつきやすいというメリットがあります。

とはいえ、国としては農地を減らすことは将来の食糧供給が減少するリスクを抱えることになるため、一定の条件を満たさなければ農地を他の用途の土地に変えることはできません。

その条件として、まず立地条件があります。

国としても、たとえば都市の中心部にある土地については、農地ではなく、宅地や商業に活用し経済的な振興を実現したいと考えているため、比較的農地を他の用途の土地に変更しやすくなります。

他方で、田舎の土地や、農業に適している土地については、農地のままで残すべきということになり、許可の基準が厳しくなります。

次に、農地以外の土地に転用した場合に、その転用の目的が達成できるかどうかも審査されます。

つまり、転用する目的が明確に決まっており、その目的が達成できるだけのお金があるかといったことが審査されます。

そのため、何となく更地にしておきたい、といった場合は明確な目的がないため農地の転用は認められません。

また、農地を宅地にしようとしても、そのための工事をするお金がない場合、転用はできないということになります。

6 農地を相続された方は私たちにご相談ください

農地が遺産の中に含まれていると、誰も農地を欲しがらず、「農地の押し付け合い」が始まるケースも多くあります。

また、財産があまり多くない場合であれば、農地を含めた全ての遺産を放棄するという方法もあります。

さらに、農地を宅地に転用したり、転用して売却する場合には、様々な基準をクリアする必要があります。

このように、農地を巡る相続問題は非常に複雑で、複数の分野の専門的知識が必要です。

遺産の中に農地が含まれていて、お困りの方はぜひ私たちにご相談ください。

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